September 16, 2006

【感想】奈良フィルハーモニー管弦楽団 第19回定期演奏会

2006年9月10日(日) 13:30  奈良県文化会館・国際ホール

モーツァルト: 交響曲第39番変ホ長調K.543
モーツァルト: 交響曲第40番ト短調K.550
モーツァルト: 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」K.551

(アンコール)モーツァルト: 交響曲第41番「ジュピター」第4楽章終結部

指揮: 北原幸男

<感想>

北原幸男さんの風貌そのものと言っても良く、スマートで精悍さを感じた演奏でした。
余計な感情を入れず、純度の高い音楽。 でも、けっして冷たくはありません。 熱く美しく磨きあげたような感じでしょうか。
第39番、堂々として美しく、しかもよく引き締まった演奏は即物的な感じさえする純度の高いもの。 曖昧さなど微塵もありませんでした。
第40番、しなやかさの中に鋼のような芯を持ち、美しく磨き上げたような感じ。 媚びない演奏なのでともすると冷たくも感じそうな感じなのですが、熱さがありました。
第41番、シャープかつストイック、そして緻密に構成された演奏でした。 重心を低くして打点を明確にした熱い響きなのですが、その響きには濁りがなく清潔感を感じました。
いずれも、さすがプロオケ、と思わせる演奏で、北原さんの指示にも集中力高くかつ的確に反応していたオーケストラの技量の高さにも賛辞を贈りたいと思います。
しかしながら、モーツァルトの後期交響曲3曲を連続し、しかも(たぶん)繰り返しをすべて敢行した熱意は買いますが、同じアプローチで3曲立て続けに聴いていると、聴き手として疲れてきました。 金管楽器を派手に鳴らしていた部分が散見されたのも、ちょっと個人的な趣向とズレていたからかもしれませんけれど・・・途中から、ご馳走さま、といった感じもしたことを打ち明けておきます。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20060910.htm

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September 09, 2006

【感想】六甲フィルハーモニー管弦楽団 第22回定期演奏会

2006年9月3日(日) 14:00  神戸文化ホール・大ホール

ウェーバー: 歌劇「オベロン」序曲
R.シュトラウス: 交響詩「死と変容」(*)
ベートーヴェン: 交響曲第5番ハ短調「運命」

(アンコール)モーツァルト: 歌劇「フィガロの結婚」序曲

指揮: 松井真之介、森 康一(*)

<感想>

集中力が高く引き締まった演奏の数々、自分達の音楽をまい進して気持ちのいい演奏会でした。
2~3分遅刻したでしょうか。 2階席への階段を登るとき、「オベロン」序曲のホルンとトランペットによるカール大帝の登場の場面。 タイトに引き締まった響きがロビーにも朗々と聴こえてきて、その覇気のある音楽にワクワクながら、そっと扉を開けてホールに入りました。
通路脇の席に座り、最後まで身を乗り出すようにして聴かせてもらいました。 松井さんの指揮はとにかく元気いっぱい。 オーケストラの弦楽器の分奏がとてもしっかりしてたのが印象的。 ただし聴いていたのがホール隅だったからでしょうか、金管楽器がややダンゴ状態になって届いてきた感じもしましたけれど。 しかし覇気があり推進力のある演奏を堪能しました。
座席を中央付近に移動し、今度はR.シュトラウスの「死と変容」。 こちらは森さんによる指揮ですが、森さんは動き廻りはしないけれど、しなやかで大きな動き。 集中力を高めたオケから美しい音楽を導き出して見事でした。 素晴らしい演奏に感動しました。 この演奏、オケの機動力は勿論のこと、爽やかな色香を漂わせた美しさがとても魅力的でした。 堂々としたオーケストラ・サウンドはオルガントーンか、と思える場面もありましたものね。 大きな拍手を贈らせてもらいました。
そして15分間の休憩時間、これまで対抗配置だったコントラバス8本をステージ正面奥に一列に配置。 ムジークフェライン流ですね。 さすが松井さん、名曲中の名曲「運命」をこんな趣向で聴かせてくださるとは、期待が膨らみます。 そしてその期待を上回る迫力・気力の充実した演奏。 すべての繰り返しを行い、これでもか、これでもか、とタイトかつ豊穣な音楽の嵐。 ここでも松井さんの指揮は踊っていて、時に片足でケンケンをするような仕草でオケを乗せ、ぐいっと引き締めてからすっと開放してと、指揮台上狭しと動きまわってました。 自分のやりたいのはコレ、主張のはっきりした音楽。 とにかく音楽が好き、そんなオーラの感じる演奏に惹き込まれました。

<詳細>

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September 02, 2006

【LP】オーマンディ/フィラデルフィア管による「北欧の旅」

Zs6

オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団による「北欧の旅」。 日本コロムビアの25cm(10インチ)盤のLPレコードです。 グリーグの「ペール・ギュント」組曲第1番、シベリウスの「悲しきワルツ」、アルヴェンの「スェーデン狂詩曲」、そしてシベリウスの「フィンランディア」の4曲が収録されていて、上質のオケによる演奏が安心して楽しめます。 もちろん「フィンランディア」は合唱付きで、モルモン会堂聖歌隊が歌ってます。 キリっと締まった演奏と合唱は、さすがシベリウスを得意としたオーマンディらしく聴き応えありますね。

<詳細>

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August 26, 2006

【感想】吹田市交響楽団 サマー・コンサート2006

2006年8月20日(日) 14:00  メイシアター・大ホール

第1部
モーツァルト: 歌劇「魔笛」より「序曲」
        パパゲーノのアリア「オイラは鳥刺し」
        夜の女王のアリア「我が心は怒りに燃え」
        パパゲーナとパパゲーノの2重唱「パッパ、パパゲーナ、パパゲーノ」
モーツァルト: 交響曲第39番より第1楽章
第2部
指揮者コーナー
 モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク
 ブラームス: ハンガリー舞曲第6番
第3部
 芥川也寸志: 交響管弦楽のための音楽

(アンコール)プッチーニ(編曲/新谷武):
歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」

独唱:晴 雅彦(Br)、角地直子(S)、木村直未(S)

指揮:米山 信、新谷 武

<感想>

高校野球の決勝戦があるのにここに集まった人たちは本当の音楽好きである、と指揮者の米山さんが言われていましたけれど、今年も音楽を好きになるコンサートを楽しませていただきました。
今年はモーツァルト・イヤーということであり、まず第1部は歌劇「魔笛」の序曲とアリアなど3曲。 晴雅彦さんの軽妙な演技と耳あたりのよい歌声で「オイラは鳥刺し」、角地直子さんとの2重唱で「パッパ、パパゲーナ、パパゲーノ」を楽しみました。 じつは昨年10月に中古レーザディスク(今時なのでなんと1,000円)で捕獲して以来、「魔笛」は数少ないお気に入りの歌劇になったのでした。 実演でも聴けて本当に良かったと思います。 とにかく楽しい演奏でした。
ちょっと段取り悪かったのもご愛嬌で、第1部は交響曲第39番第1楽章で締め。 コントラバスにのって金管が吹き、また木管アンサンブルも輝くようでした。 後半は滑るような弦楽器とも相俟って、堂々としながらもモーツァルトらさしさを感じた演奏で前半を幕。
第2部は恒例の指揮者コーナー。 ここもちょっと段取り悪かったけれど、クスクス笑いもまたモーツァルトにはよく似合ってますね。
第3部は芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」。 モーツァルトをテーマとしたこのサマーコンサートとしては、とても意欲的な試みだったと思いますけれど、最後にオーケストラ音楽の醍醐味を味合わせてもらいました。 オーケストラから発っせられるリズム感の良い響きが届けられ、しかもキレやコクもあってとても気持ちの良い音楽。 機動力のあるオーケストラ音楽に心奪われたひとときでした。
吹響のサマーコンサート、気楽に楽しめるけれど、いつも何か新しい発見をさせてくれる演奏会ですね。 今年もまた大いに楽しませていただきました。
蛇足ですが、今年のパンフレットのデザインについて。 少女が指揮をする周りで猫ちゃんが、ヴァイオリンを弾いたり、フルートやラッパを吹いたり、シンバルやタンバリンを叩くような図案でした。 帰りがけ、ロビーで小さな女の子が、猫ちゃんがいっぱい、と嬉しそうにお母さんに話す声が聞こえてきました。 こんなことでも身近に音楽を楽しめた演奏会だったと思います。 とてもいい気持ちになって会場をあとにできました。 皆さん、お疲れさまでした。

<詳細>

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August 05, 2006

【LP】バルビローリによるドイツ序曲集

Udl3093y

ジョン・バルビローリ指揮ハルレ管弦楽団によるドイツ序曲集。 ちょっとミスマッチかも・・・なんて印象を持ちますけど、いえいえどうして、これがじつに楽しいレコードなんです。
抽象的な表現になりますけど、ヒューマニティを感じます。 サー・ジョンの優しい人柄とハルレ管の鷹揚で暖かなアンサンブル。 「ウィンザーの陽気な女房たち」での息の長いフレージングで艶っぽく歌わせるあたり、とても楽しい気分になりますよ。 「タンホイザー」序曲、これほどまでに威圧感を感じさせない演奏も珍しいのではないかな。 まさしく「愛による救済」ですね。 これはこれで納得するレコードです。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/lp/udl3093y.htm

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July 18, 2006

【感想】衣笠交響楽団 第14回定期演奏会

2006年7月16日(日) 14:00  長岡京記念文化会館

ボロディン: 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」(*)
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番(**)
ブルックナー: 交響曲第6番

(アンコール)ワーグナー: 「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

独奏: 内木優子(p)

指揮: 平松久司(*)、宮村 聡(**)、伊藤和夫

<感想>

キレの良いすっきりと引き締まったブルックナーの交響曲第6番を楽しみました。
衣笠交響楽団、立命館大学交響楽団OB有志が年に1回集っての演奏会だそうです。 団員の方は北海道から九州にも至るとか。 年1回のツアーのため、数回の練習で本番に臨んでおられるそうです。
にしても、芸術監督で14年前から一貫して指揮されている伊藤和夫さんによるブルックナーの交響曲第6番は集中力がありました。 音圧も十分で、キレも良く、美しい響きでタイトに決めた見事な演奏でした。 冒頭の緻密な弦の響きから、それまでの演奏とは一線を画していました。 中低弦と低音金管楽器がしっかりと曲を支え、抑制をよくかけた演奏は数回の練習とは思えないほど見事なものでした。 終楽章のフィナーレなども、勢い込むことなく、よく練り込まれた響きで締め上げ、残響が消えるまで音楽を楽しみました。
これに先立って首席客演指揮者の平松久司さんによるボロディンの「だったん人の踊り」は、遅めのテンポによる着実な演奏。 どこかのほほんとした感じも受けました。
また特別客演指揮者の宮村聡さんと内木優子さんのピアノによるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番もまた着実な演奏だったと思います。 ボロディンの演奏よりもオケの響きに粘りがありましたし、ピアノも強めの打鍵で気迫を感じましたけど、全体的には端正に纏めた感じだったでしょうか。
この2曲はいずれも今一歩で、もうちょっと踏み込みがあったら・・・と思ったのですけれど、これだけのプログラムを少ない練習でこなすのは、ちょっと大変すぎではないでしょうか。 そんなことも感じた演奏会でした。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20060716.htm

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July 15, 2006

【LP】ペーター=ルーカス・グラーフによるバッハ/音楽の捧げ物

Ml2005

スイス生まれのフルート奏者、ペーター=ルーカス・グラーフとその仲間達とのセッションによるJ.S.バッハの「音楽の捧げ物」。 「音楽の捧げ物」というとクルト・レーデルのレコードを真っ先に思い出してしまうのですが、ここではより絞り込んだ編成による真摯で深いバッハの世界が聴けます。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/lp/ml2005.htm

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July 09, 2006

【感想】ならチェンバーアンサンブル 第71回定期演奏会

2006年7月2日(日) 15:00  なら100年会館・中ホール

モーツァルト: フルート四重奏曲ニ長調 K.285 -**
モーツァルト: 弦楽四重奏曲第21番ニ長調 K.575
(オマケ)モーツァルト: 逆カノン
モーツァルト: クラリネット五重奏曲イ長調 K.581 -*

(アンコール):シューマン: 夕べの歌

奏者:鈴木豊人(cl)-*、柴田華奈(fl)-**
   五十嵐由紀子(Vn1)、海田仁美(vn2)、植田延江(va)、斎藤建寛(vc)

<感想>

鈴木豊人さんのクラリネットによる五重奏曲に酔いました。
モーツァルト生誕250年記念~神童をとりまく名手たち~と題された、ならチェンバーの演奏会。 鈴木さんはサイトウキネンや紀尾井シンフォニエッタで活躍されている名手ですが、ならチェンバーにも機会あるごとに出演されるのをいつも楽しみにしています。 そして今回も、鈴木さんらしく暖かくて陽性の音楽を心ゆくまで堪能しました。
大きな動きから流れ出るクラリネットの旋律、いや逆にクラリネットの旋律に合わせて身体が動いているいるのでしょうが、気持のよく乗った演奏を聴くのはほんと気持いいですね。
アンサンブルのメンバーも、弦楽四重奏曲第21番(プロシア王セット第1番)では緊密なアンサンブルがかえって生真面目にも思える場面もありましたけど、クラリネット五重奏曲では誠実さと軽やかさがうまく同居し、角の取れた演奏を楽しみました。
また冒頭には、2005年度の奈良市の新人オーディションに合格された柴田華奈さんのフルートによる四重奏曲第1番。 柔らかくて伸びやかに響かせる大型新人ですね。 さらに表現に自由度が備わったら素晴らしい奏者になるのではないでしょうか。 誠実なアンサンブルで清新な演奏でした。
そしてまた嬉しかったのは、アンコールとして鈴木さんがシューマンの没後150年の話題を出してくださり、「夕べの歌」を演奏されたことですね。 モーツァルトのあとにシューマンを楽しめた素適な演奏会でした。

<詳細>

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July 01, 2006

【感想】摩耶交響楽団 第3回定期演奏会

2006年6月25日(日) 13:30  神戸文化ホール・大ホール

ワーグナー: ジークフリート牧歌
マーラー: 交響曲第5番嬰ハ短調

指揮: 佐々木 宏

<感想>

管打楽器を中心に据え、気迫のこもったマーラーの交響曲第5番でした。
冒頭から熱い響きが迸り出てきたのに、子供が驚いて泣きだす一幕も。 慌ててお父さんが外に連れ出したほど気迫の溢れた演奏が展開されてゆきました。
オーケストラ創設3年目でマーラーの第5番の演奏に挑戦。 新聞にはそのように採り上げられていたそうです。 興味を持って伺いましたが、冒頭に書いたとおり、管打楽器に圧倒されました。 そのぶん高音弦が薄いのが少々気になりましたけど、全員で25人のヴァイオリン奏者のうち10人がエキストラだというのが辛いところですね。 しかも25人でも絶対的な人数は少ないのかもしれません。 でもそこはヴィオラが奮闘していたのが印象的でした。 トップの人など、腰を浮かさんばかりの大熱演。 パートを精力的に引っ張っていました。 中音弦が豊かに鳴るオケは聴いていても安心感を覚えます。 これは摩耶響の特筆すべき点だと思いました。 あと嬉しかったのが有名なアダージョのあとの第5楽章へのアタッカ。 ここが大好きなんですが、この演奏でもアダージョの弦楽器の響きが静かに消えたあと、ホルンがパァ~ンと鳴り、まずこの一音の響きが決め手なんですけど、これが素晴らしかった。 そして更にそれに続く木管楽器、旋律を歌い廻してゆくあたりなど朴訥とした感じも出ていてよかったですね。 とにかくこの後も気迫溢れるマーラーの演奏に耳を離すことができませんでした。
なおこれに先立って演奏されたワーグナーの「ジークフリート牧歌」、端正で爽やかな演奏でした。 颯爽と纏めたような感じかな、個人的にはもうちょっとうねるような響きも欲しかったけれど、今日の主役はマーラーですものね。 マーラーの前の小手調べとしては集中力の高い演奏でした。
最後にこのオーケストラ、小さな子供がいてオケに入るのをためらっている人のために練習時に託児を行っているそうです。 だから演奏会も中学生以下は無料で、未就学児童もOKなんです(保護者同伴の上、周りの方への配慮をお願いしているのは当たり前のことですものね、子供を抱えて飛び出したお父さん大変でしたね)。
今回の挑戦、そんなオケの皆さんにとっても素晴らしい経験になったのではないでしょうか。 お疲れさまでした。 そして今後のご活躍も期待したいと思います。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20060625.htm

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June 24, 2006

【感想】吹田市交響楽団 第61回定期演奏会

2006年6月17日(土) 18:00  吹田市文化会館メイシアター大ホール

ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」op.9 (*)
ミヨー: バレエ音楽「屋根の上の牛」op58-2 (*)
ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14

(アンコール)ベルリオーズ: ラコッツィ行進曲

指揮: 米山 信(*)、新谷 武

<感想>

密度の濃い響き、響きの角が取れた大人の雰囲気のする演奏会でした。
今回の吹響定期は、苦手なフランス音楽プログラム。
それでも最初と最後のベルリオーズは耳馴染みがあるんですけど、ミヨーのバレエ音楽「屋根の上の牛」は、オケが纏まりなく緩いのか曲がそもそもそんなのか判別つかず・・・
でも後半、緩みが消えたような気もしましたけどね、とにかく明るいサンバのリズムの部分を中心に楽しみました。 ラッパ、軽快でとてもカッコ良かったですよ。
指揮の米山さんも、いつもより多く動いて大変そうでした。
最初の「ローマの謝肉祭」序曲、こちらも米山さんの指揮ですが、冒頭こそズバっと切り込むスピード感で惹き込みましたけど、響きの角を綺麗にとって纏まりのよい演奏はホント上質。
いつもどおり勢い込まず、安心して聴き進められる充足感のある演奏でした。
そしてメインの幻想交響曲。 こちらは新谷さんの指揮でいつもながら大きな振りでグィグィと引っ張ります。 第4楽章の断頭台への行進では、期待通り主題を繰り返して下さいました。 でも意欲的な動作ではあるものの、出てくる音楽は、響きに充足感があって集中力の高いもの。 ここでも勢い込んだところはなく、第4、5楽章などテンポをちょっと遅めにとった密度の濃い演奏でした。 学生オケやOBオケならば、突っ走って勢いで勝負、みたいな部分も、じっくりと構えて勝負しているような感じ。 いいですね、こんなの好きです。
惜しむらくは、第5楽章にはアタッカで入って欲しかったことと、第2楽章はもっとテンポを落として欲しかったことかな。 前者はオケの体力を考えてのことでしょうし、後者はバルビローリの演奏に感化されている戯言なんで無視してください。
とにかく、大人の演奏を楽しませていただきました。 皆さん、お疲れさまでした。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20060617.htm

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