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October 20, 2007

【感想】伝田正秀ヴァイオリン・リサイタル

2007年10月19日(金) 19:00  ムラマツリサイタルホール新大阪

エルガー: 愛のあいさつ
ヴィターリ: シャコンヌ ト短調
イザイ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調「バラード」
ヴィエニャフスキー: 華麗なるポロネーズ第1番ニ長調
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲ホ短調
マスネ: タイス瞑想曲
パラディス: シチリアーノ
モンティ: チャールダーシュ

(アンコール)ヴュータン: アメリカの想い出「ヤンキー・ドゥードゥル」
(アンコール)アイルランド民謡: ロンドンデリー

伴奏: 片岡美津 (p)

独奏: 伝田正秀 (vn:ガスパール・ディ・ベルトロッティ,1580年)

<感想>

1979年5月5日長野市生まれ、若き仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター伝田正秀によるヴァイオリンリサイタル。 終演後、隣に座っていた若い女性が、もっと聴いていたい、と興奮冷めない様子で洩らしていたことがすべてを物語っていました。

伝田さんの演奏は、アグレッシブというのとはちょっと違うかもしれませんが、常に前向き。 技巧的なパッセージにおける安定感は言うに及ばず、ヴァイオリンの音色、響きを少しも損なうことなく、真正面から熱く音楽を伝え、客席から何度も嘆息を誘っていました。

特に前半の最後を飾ったヴィエニャフスキーの華麗なるポロネーズをロマンティックに熱く歌い、そして締めとしたモンティのチャールダーシュでは技巧の粋を尽くし、プログラムにも書いてあったとおりの全身全霊で演じ切った迫力。 客席を圧倒していました。

そしてまたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、大きなホールの生オーケストラで聴くと少々欲求不満を感じることの多い曲ですが、見晴らしの良いピアノ伴奏を従え、艶やかな光沢で堂々と鳴らした演奏にこの曲の新たな魅力を感じました。

個人的には第2楽章ではもっと退いて思索的、ふっとこぼれ落ちるような溜息、そんな枯れた味わいも期待したのですが、艶やかに歌い綴っていったのは若い情熱の迸りと感じました。 人生の折り返し地点を通り越した当方とは違い、枯れた演奏を期待するのは早計と反省したしだいです。

なお使用したヴァイオリンは、1580年にガスパール・ディ・ベルトロッティによって製作されたものとのこと。 素人の耳にも分かる琥珀にも似た落ち着いた音色、そして奥行きを感じさせる響きを目の当りに聴き、酔いしれました。

とにかく伝田さんのヴァイオリンから迸り出た熱い想い、そして大いなる歌、素晴らしい才能に触れた一夜でした。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20071019.htm

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