【感想】奈良女子大学管弦楽団 第37回定期演奏会
2006年12月3日(日) 13:30 奈良県文化会館国際ホール
フンパーディンク: 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
シューベルト: 交響曲第7番「未完成」
ブラームス: 交響曲第4番ホ短調
(アンコール)ブラームス: 交響曲第4番ホ短調終楽章終結部再演
指揮: 牧村邦彦
<感想>
しなやかで美感漂う演奏の数々でしたが、個人的にはシューベルトの未完成交響曲に感動しました。 失礼ながらこのような素晴らしい未完成交響曲が聴けるなんて・・・正直、思ってもみませんでした。
指揮者の牧村邦彦さん。 未完成の演奏では、指揮する腕を肩よりも上には挙げず、刺激的な響きを極力抑えている様子。 力を込めながらも、柔らかな響きを繋いでゆく上品さ、しなやかさ、奥行きの深さ、そして何より美しい歌が溢れていました。 メンバーを絞り込んだオケより繰り出されてくる美しい旋律が繰り返され、そしてまた主題の再現部、何度も何度も訪れてくる旋律・響きに感激しっぱなし。 ほんと素晴らしい演奏でした。 参りました。
そしてメインのブラームスの交響曲第4番。 この演奏もまたシューベルトと同じくしなやかで美しく更に熱い演奏でした。 牧村さん、第1楽章ではシューベルトのときと違った大きなアクションを繰り出してオケを盛り立てようとしていたように見ましたが、ここでのオケの反応はちょっと鈍かったみたい、でもこのあとはオケもよく奮闘していました。 何より各楽章の終結部、いずれも熱くタイトに決めたカッコ良い終わり方。 ティムパニの切れもまた良かったですしね。 楽章毎に拍手が沸き起こったのも頷けました。 若々しく熱いブラームスを存分に味わいました。
なお、これに先立って演奏されたフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲。 丁寧で柔らかな開始だったのに、会場内がちょっと騒がしく、またカメラのフラッシュも光ったりして可哀想でした。 演奏は落ち着きながらも次第に熱くなってゆきましたが、常に円やかな響きを基調にした上品な演奏を楽しみました。
奈良女オケ、前回は伺えず残念でしたが、好調を持続していて嬉しかったですし、また予想を遥かに超えた未完成交響曲の素晴らしい演奏。 この未完成の演奏に巡り会えて幸せでした。 こういった意外性もこのオケの魅力なんですね。 とてもいい演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。
<詳細>
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Comments
はじめまして
資料探しの通りすがりですが、卓越した音楽への活眼はすばらしく、感想というよりはそのまま解説になりますね。驚きました。
というか、こういう言葉をつかっていいのものかとも思ってしまいます。失礼がありましたらお詫びいたします。
私は千葉に住んでいますので、こちらの地方にはあまりなじみはありません。残念です。
コンサートにもすっかりでかけなくなりました。
今は作曲の真似事などをして楽しんでいるくらいです…
J.S.バッハ(シェーンベルク編曲):プレリュードとフーガ「聖アン」変ホ短調 BWV552をここで発見しました。シェーンベルク編曲であるとは知りませんでした。
実は吹奏楽にアレンジしようとしてて、それがすでになされて居た事がわかり、その原典がオルガンなのか、それともオケなのかと探していた次第です。
オケも吹奏楽もスコアも演奏も聞いたことがないので、存在があるのがわかったので、探して聞いてみたいと思います。
ありがとうございました。
またいつか。お元気で(__)
Posted by: mana♂ | December 20, 2006 09:11 AM
mana♂さんコメントありがとうございます。
このところ飛び回っていてご返事遅くなりました。 恐縮です。
千葉にお住まいですか・・
千葉には船橋フィルというのがあって、一度聴いてみたいのですが、東京方面に出張があっても日帰りなので、叶いません。
アマオケは土日に演奏してくれるのが有難いですね。 プロオケには感じること少ない演奏の熱気もありますし、音楽を聴いている実感が強くもてるのも好きなところです。
お近くのアマオケ演奏会にも出かけられると面白いのではないでしょうか。 それでは
Posted by: 安田裕隆 | December 23, 2006 06:20 AM