【感想】三田市民オペラ 第6回定期公演「こうもり」
2005年10月2日(日) 13:30 ホロンピアホール
J.シュトラウス2世: 喜歌劇「こうもり」全3幕(日本語上演)
演出・訳詞・台本: 井村誠貴
舞台監督: 伊藤英理
アイゼンシュタイン:澤井宏仁
ロザリンデ:野村佳代
アデーレ:牛尾加奈
ファルケ:東平聞
アルフレート:神田裕史
フランク:嶋本晃
オルロフスキー:杉尾真理
イーダ:又吉優香
ブリント:上辻直樹
フロッシュ:池田 浩
歌のゲスト:近藤裕子
踊り:安藤美枝、葉室いずみ、坂口裕紀、米田華奈子
合唱: 三田市民オペラ合唱団・児童合唱団
管弦楽:アンサンブルMFI
(p:岡元優子,vn:城戸崎奈津子,松原宣子,cb:吉岡佳名子,
fl:林ゆかり,ob:木下菜保子,cl:岩田真由美,fg:田中裕美子,hr:田淵亜佐美)
指揮: 井村誠貴
<感想>
軽妙洒脱、限られた資源をうまく使った「こうもり」の公演でした。
冒頭、井村さんのスピーチがあって、オペラではなくオペレッタ、気軽に見て欲しい、大きな声で無理して笑って欲しい・・・ とのこと。 大声では難しかったけれど、気軽に見る意図は通じたのではなかったでしょうか。
大阪弁を交えて親近感を持たせ、また出演者に先のストーリーをそれとなく語らせることにより、初めての人でも話の展開を理解しやすくする工夫もありましたね。 もっとギャグが出てきてアヴァギャルドな吉本風かなと思いきや、基本にはかなり忠実。 「こうもり」を観たことがある人にも違和感はありませんでした。 けっこうオーソドックスにそつなく纏めた・・・というか、「こうもり」自身の完成度の高さも垣間見たように感じました。
声楽陣では、男声が充実していましたね。 終始軽妙な演技と張りのある声で歌ったアイゼンシュタイン(澤井宏仁)、朗々と歌ったアルフレート(神田裕史)、いかにも「こうもり」らしい雰囲気を漂わせたファルケ(東平聞)もよかったですね。 それに刑務所長のフランク(嶋本晃)が声・演技ともいい味を出していました。 アイゼンシュタインのとのアンサンブル、面白かったですよ。 女声陣は、演技と歌がどっちつかずになる傾向にあったようですけど、落ち着いて演じたロザリンデ(野村佳代)、狂言回しを見事に演じきったアデーレ(牛尾加奈)を筆頭に、イーダ(又吉優香)も落ちついた演技と歌を聞かせていました。
演奏は、ヴァイオリン2本、コントラバス1本、木管五重奏にピアノという編成。 これで、しっかりと「こうもり」の音楽が流れ出てくるから不思議です。 コンパクトながらも、実に聴かせ上手な演奏でステージも息づいていました。
以前、メノッティの「アマールと3人の王様」をコミュニティ・オペラで見たことがありますが、このときはピアノ、オーボエ、フルート、コントラバスのより小編成(指揮:三原剛)。 今回もその時のことを思い出しながら観ていましたが、今回もまた、お金をかけて大ぶりに公演をするのではなく、無駄なもの・余計な物を削ぎ落とし、必要なもの残すようにして演ることで、より身近で、地に足のついた公演になるように思えました。 このような取り組みは是非とも続けていって欲しいものですね。
<詳細>
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