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August 13, 2005

【感想】天理シティーオーケストラ 第5回定期演奏会

2005年8月7日(日) 14:00  天理市民会館

ベートーヴェン: 交響曲第5番「運命」(ベーレンライター版)
ブルックナー: 交響曲第4番「ロマンティック」(ノヴァーク版第2稿)

(アンコール):ヨハン・シュトラウス2世: ピチカート・ポルカ
(アンコール):ヨハン・シュトラウス: ラデツキー行進曲

ゲスト・コンサートマスター: 金関 環

指揮: 安野英之

<感想>

チラシに「ドイツ2大交響曲の饗宴」と題されたとおり、ちょっと(かなり)重いプログラムの演奏会でしたが、「運命」と「ロマンティック」とも、いずれも雰囲気に流れることが皆無で丹念に響かせ合い、かつメリハリをつけた躍動的な素晴らしい音楽でした。 演奏会を堪能しました。

まず、ベーレンライター版を使った「運命」。 やや軽快に曲を進めながらも、カチッと響きを絞り込んで端正に纏めていたのが特徴的でした。 何より音楽に推進力があるのが素晴らしいですね。 そしてそれが最後まで途切れることがありません。 ちょっと軽い感じはするものの聴き応えは十分、そんな感じで、最近のベートーヴェン演奏の範といった感じかもしれません。 また会場からの反応もよく、この演奏によって「運命」を最後まで聴かれた方も多かったのではないでしょうか。

続いて、版の違いなど分かっていないのですがノヴァーク版第2稿による「ロマンティック」。 響きを抑え込んだ弦のトレモロに、ホルンのソロが実に素晴らしかった冒頭から惹き込まれました。 よく言われる例えのように、霧のかかった森の中から響いてくるような感じ。 これに続く木管アンサンブルもまた綺麗で、各奏者の頭が同じように縦に揺れてきちんとリズムを合わせた音楽で引き継ぎます。 そして、厳かでかつ底力を感じさせる金管ファンファーレの迫力も見事。 コントロールが行き渡った演奏から耳を離すことが出来ませんでした。 そして最後の最後まで雰囲気で曲を流すことなどなく、金管を咆哮させるときでも、指揮者の安野さんはまるで祈りを捧げるかのようにゆったりと振っていたのも印象的。 壮大な曲なのですが、細心の配慮を持って響かせ、その緻密な響きを丹念に組み合わせ、構築された充実したアンサンブル。 美しいロマンティックの演奏を堪能しました。

ただ、演奏終了後の会場からの拍手の反応がちょっと鈍かったのは、初めて「ロマンティック」を聴かれた方が多かったからでしょうね。 繰り返しが多くあって長大な第1楽章で参ったうえに、第2楽章で沈没された方も多かったようです。 でもオケの集中力は全く途切れることのない見事な演奏でした。 最後の最後まで楽しませていただきました。

そして次回、今度はラヴェルなどオール・フランス・プログラムに挑戦される天理シティオケ。 ますます目(耳)が離せません。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20050807.htm

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