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July 17, 2005

【感想】大阪大学交響楽団 第85回定期演奏会

2005年7月16日(土) 13:30  尼崎アルカイックホール

ベートーヴェン: 劇音楽「エグモント」序曲
グリーグ: 組曲「ペール・ギュント」第1・2組曲
ベートーヴェン: 交響曲第5番ハ短調「運命」

指揮: 金洪才

<感想>

アンサンブルの響きの角が綺麗に取れて、薄いヴェールを1枚かけたみたいにも思えた上質な響きを堪能した演奏会でした。 そして今回、金洪才さんの指揮ということもあったからでしょうか、前回の演奏会よりも丹念に磨きあげられた演奏、そんな印象を持ちました。
最初の「エグモント」序曲より、肌触りの良い響きを丹念に重ねたような演奏でした。 オケも見事にそれに応えて、堂々というよりも、スタイリッシュな音楽として纏めていました。
続く「ペール・ギュント」組曲は端正に纏めた演奏でした。 煽るようなことなど皆無。 緻密に曲を演じ分けていました。 いずれも見事な演奏だったのですが、最後の「ソルヴェイグの歌」のラスト、静かに眠りにつくさまを音楽で表現した金さんの手腕の確かさが光っていました。 すぅ〜と曲に惹きこまれてゆくような錯覚さえ覚えました。 ただ全体として考えると、やや形式的に綺麗にまとまりすぎていたようにも思いましたけど(偉そうにすみません)、このラストにはハッとしました。
そしてメインの「運命」、正々堂々と正面から立ち向かった演奏でした。 しかし、ここでも刺激的な響きを極力廃し、上質な響きで演奏しつつ要所をバシッと決め、的確に曲を進めてゆくような感じ。 カルロス・クライバーのように、流れを重視して推進力を持って進めてゆくのではなく、かといって重量級の響きで聳え立つような感じでもありません。 あえて言うならば、ヨーゼフ・クリップスのような正攻法。 きちんと作品に立ち向い、音楽を咀嚼して、流れる旋律を柔らかな響きで覆う、一種エレガントながら芯のはっきりした演奏でした。 
いずれも金洪才さんらしい誠実な演奏だったように思います。 
なお上質で素晴らしい運命を味あわせていただいたあと、アンコールが無かったもの良かったのではないでしょうか。 静かな感動を胸に会場をあとにすることができました。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20050716.htm

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