« 大阪市民管弦楽団 第61回定期演奏会 | Main | 紫苑交響楽団 第5回定期演奏会 »

September 17, 2004

【感想】奈良フィルハーモニー管弦楽団 第15回定期演奏会

2004年9月12日(日) 13:30  奈良県文化会館・国際ホール

ラヴェル: マ・メール・ロワ
サン=サーンス: ヴァイオリン協奏曲第3番
(アンコール)ジャン・マルティノン: ソナチネ
(アンコール)岡野貞一作曲/文部省唱歌:「紅葉(もみじ)」
ビゼー: 交響曲第1番
(アンコール)ビゼー: 「アルルの女」第2組曲より「ファランドール」

独奏:オリビエ・シャルリエ(vn)

指揮:秋山和慶

<感想>

期待どおり、いやそれ以上の演奏でした。 特にオリヴィエ・シャルリエさんのヴァイオリンに魅了されました。 また奈良フィルの特質がよく出た上質な音楽の数々に満足して帰ってきました。
マ・メール・ロワは、バレエ版ではない管弦楽版による5曲。 いずれの曲でも管楽器奏者が大健闘していました。 もちろん弦楽アンサンブルもすっきりした響きに低弦が絡まって柔らかいアンサンブル。 オケが一体となって突出することなく、それぞれの物語を一つの音楽とし、素適なお伽の世界を演出。 上々の滑り出しでした。
サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番はメロディの宝庫。 シャルリエさんはこの曲をさらに優雅で華のある演奏に仕上げ、会場を魅了していました。 シャルリエさんのヴァイオリンの響きは暖かく、まるで鼻にかかるフランス語の発音みたい。 しかも美しく柔らかいだけでなく、きちんとした主張があるのが素晴らしいところです。 けっして声高にはならないのですけど、一歩前に踏み込んで歌い上げるときの自信と余裕。 また秋山さんの元に歩みよってオケと協調する場面も散見され、実に素晴らしい演奏に感嘆しました。 なお奈良テレビのカメラも入ってましたけど、この美しい音楽の襞は到底収録することは出来ないだろうな・・・そんなことを思いつつカメラを横目で見、この幸せな音楽に酔っていました。
いよいよメインのビゼーの交響曲。 よく言われるように快活さはハイドン、メロディはシューベルトといったところでしょうか。 秋山さんと奈良フィルはここでもしっかりした構成と、終始抑制された表現で決して突出することない誠実な演奏でした。 この明るい曲を緻密なアンサンブルで演奏した弦楽器の美しさは特筆しておくべきと思います。 
ただ、もうちょっとオケに自主性があっても良かったような気はしました。 そう思えたのはアンコール曲「アルルの女」の「ファランドール」を聴いてから。 こちらはよく言えば気合の入った演奏ですけど、直裁的な表現で押し切った感じ。 練習量の差がストレートに出たように思います。 これを聴いてビゼーの交響曲を思い返してみると、交響曲ではオケとしてはかなり精神的なプレッシャーがあったのではないかと感じました。 これはまったくの想像ですけれど、より美しく、きちんと整った演奏にしよう・・・そんな抑圧が必要以上にあったのではないでしょうか。 もし、そのようなものが解き放たれ、各自の主張する歌のようなものが感じられたなら、もっとチャーミングで素晴らしい演奏になったのかもしれません(偉そうにすみません)。 これまでの奈良フィルを聴いてきた耳からして、これは決して高望みであるとは思っていないことを付け加えておきます。

<詳細>

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20040912.htm

|

« 大阪市民管弦楽団 第61回定期演奏会 | Main | 紫苑交響楽団 第5回定期演奏会 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 【感想】奈良フィルハーモニー管弦楽団 第15回定期演奏会:

« 大阪市民管弦楽団 第61回定期演奏会 | Main | 紫苑交響楽団 第5回定期演奏会 »