【感想】大阪センチュリー交響楽団 第92回定期演奏会
ブラームス: ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
ブラームス: 交響曲第1番 ハ短調 作品68
独奏: 弘中 孝(p)
指揮: 広上 淳一
<感想>
広上さんの指揮は、派手でよく動き、しかも機械仕掛けの歯車がガタガタと動くみたいな感じに見えるのですが、真摯で熱いブラームスを充分に演出していました。 クライマックスではストレートに盛り上げ、反面暖徐部分では流麗に歌わせる。 とても濃厚な音楽なのだけれども、爽やかであっさりした感じにも聞こえたのはセンチュリー交響楽団の特質でしょうか。 重厚な響きで押しまくるといった感じではなく、ちょっと小ぶりだけれど非常に聴き応えのあるブラームスでした。
ピアノ協奏曲第1番は、端正でストレートに進んでいった感じでした。 弘中さんのピアノは透明感のある煌びやかな響きなのですが、反面虚飾を排した端麗さが持ち味だったでしょうか。 オケとピアノが一体となり、点画をはっきりつけた音楽で、まさにピアノ付き交響曲といった感じでした。 ただオケの響きを抑えていたせいでしょうか、熱い音楽がまっすぐにむかってきても、余韻が響き渡らないようにも感じました。 しかし、常に内面には熱い感情が息づいていた音楽でした。
交響曲第1番は、基本的なアプローチはピアノ協奏曲と同じなのですが、オケの響きが増し、熱い感動を孕む音楽が迸(ほとばし)り出ていました。 緩急をつけ、タメを作ってから盛り上げたりもするんですが、わざとらしさというのをあまり感じません。 ツボに綺麗にはまっているからでしょうか。 かえって即物的な印象さえ持つほどの熱さで、先にも書いたようにオケの特質でしょうか、爽やかで流麗なブラームスでした。 聴いていて、とてもわくわくした演奏でした。
演奏終了後、盛大な拍手を浴びて楽屋に引き揚げる広上さん。 失礼ですが、髪の毛が寂しくなった小太りのおじさんといった風貌で、しかも頭を左右に振って歩く姿は・・・土木作業でも終えたおじさんみたい。 「今日はいい仕事やったぞ、さぁ酒でも呑むかぁ〜」そんな感じにも見えてしましたが、とにかくそのような心意気が伝わってきた演奏でした。
そんな広上さんって、僕よりも一つお若いということを後で知りました。 僕もおじさんですけど(否定しません)、技術や芸を持たないおじさんってほんと寂しいですね・・・それにひきかえ広上さんはエネルギッシュで本当に素晴らしかった。
<詳細>
The comments to this entry are closed.
Comments